適性テストを活用した採用基準の明確化で得られた3つの成果 「リスクマネジメント」「教育期間の短縮」「定着率10%向上」
株式会社流通サービス
ソリューション統括部 トランスポートG
GM 山吹 誠 様
第1業務改革課 課長 鈴木 修 様
総合物流企業 梱包業・倉庫業・運輸業 等
1974年設立
従業員数 5,057名(2024年12月時点)
「迅速に、大切に、安全に、的確に」をモットーに物流事業・宅配事業を展開している株式会社流通サービス。業務改革・人材育成・安全品質といった幅広い問題解決を担うソリューション統括部に所属し、ドライバーの採用~育成にも関わられている山吹さんと鈴木さんにエン・ジャパンの適性テスト「Talent Analytics」を活用した成果について伺いました。
導入のきっかけを教えてください。
マイナスのリスクを減らしたい
みなさんもご存知の通り、ここ数年で物流・宅配事業の需要は高まっています。お陰様で、事業所も全国で82か所に広がりました。事業拡大とともに、ドライバーの確保が必要。一方で、常に人手不足、かつ採用も難しいという事業所もありました。
猫の手も借りたい状態なので、少し不安があっても採用に踏み切る。結果、残念ながら早期離職に繋がってしまう方がいたり、行動規範から逸脱する方がいたり…。このようなことが繰り返し起こっていたんです。
また、これまでは各所長の一度の面接のみで合否を決めており、判断基準も曖昧でした。
当社は、間もなく創業50年を迎えます。この次の50年、100年と永続的な事業成長を見据えたとき、自社で活躍・定着する人材を採用するために”判断基準を定義”する必要があるのでは…と考えるようになりました。マイナスのリスクは出来るだけ減らしたい。そう思ったんです。
導入の決め手は何でしたか?
面接では見えにくい「知的能力」「性格・価値観」の両方が見える
正直、面接って応募者のみなさんしっかりと準備して臨まれていますし、愛想よく受け答えされますよね。それを短時間の面接で見極めることは難しいじゃないですか。その見えにくい部分を定量化してくれるのが適性テストだと思うのですが、その中でもエン・ジャパンの適性テストは「知的能力」「性格・価値観」の両方が見られることに価値を感じました。
「知的能力」は、学校名や入試偏差値とは関係ない、ビジネスシーンで必要とされる業務遂行能力を、10段階評価で判定してくれます。
分かりやすくするために、少し歪曲してお伝えしますが、「1を伝えて10理解するのか、2~3の理解に留まるのか」というイメージです。点数の高い方の方が業務習得のスピードが速く、低い方はどちらかというと業務習得に時間がかかる可能性が高いということです。そこで一定の判断が可能だと感じました。
「性格・価値観」ではその方の「性格特性」や「コミュニケーション力」、「仕事価値観」が分かります。面接で感じたこととの齟齬がないかを客観的に見ることが出来そうだと感じました。
導入前、実際に自分たちでも受検してみました。結果を見て、自分自身では「こんな性格かな?」と思ったんですが、上司から「その通りだよ」と。第三者から見たときの自分がちゃんと反映されている。自分のことは意外と自分の方が分かってないですよね。それが、これを見たら一目でわかる。初対面の面接者もこれで客観的に見られるってすごいなと思いました。
適性・不適性それぞれの要素から判断できそうだと感じたのが大きな決め手ですね。まずは試しに…と私が当時管轄していた西日本エリアから導入しました。
実際に導入していかがでしたか?
- 採用におけるリスクマネジメント
- 教育期間の効率・短縮化
- 定着率の向上
大きくこの3つの成果を感じています。
もともとの導入目的である“採用基準”を決め、採用に活かすということから始めました。当社にはどんな人材が活躍・定着するのか…という基準を設けたことによってリスクマネジメントに寄与しているなと感じています。実際に行動規範に逸脱するような方の採用をせずに済んでいます。
所長面接に合格した方は適性テスト受検。“採用基準”をクリアしたら内定というフローに変更しました。
「基準は満たしていない…でも採用したい…」という葛藤
もちろん、適性テストで「最終合否を決めること」にまったく葛藤がなかったかと言えばウソになります。
「所長面接だけなら合格だったが、適性テストの基準には満たない」という方がいました。一刻も早く採用したい、という気持ちは現場も人事も同じ。そこで、試しにそのような方を採用してみたこともあります。…しかし結局、教育期間が通常の3倍かかりました。この体験から、「やっぱり基準を満たす方を採用しよう」と全員が納得し、無理に採用することはなくなりました。
適性テストを導入してから、所長面接合格者のうち15%ほど、不採用になる方が出ました。これは、未来に起こりうるリスクを減らせたのではと捉えています。いまでは所長たちから「判断基準がしっかりしたので、採用活動がしやすくなった」という声をもらっています。判断に悩んだり迷ったりしていた部分に、根拠ができたことで判断しやすくなったのだと思います。
2週間の教育期間短縮
そして、さらに現在は「入社後の育成期間の調整」にも活用しています。
「知的能力」の点数によって、ひとり立ちするまでの期間に差があることがわかってきたんです。これまでは全員一律で2か月間の研修をしていました。これを点数に応じて調整しています。点数が高い方は覚えられるスピードが速い傾向があり、自ずと期間が短くなります。もちろん、点数が高い方が全員期間が短縮されたということではないですが…100人くらいの実績から相関があるということを実感しています。これによって、一部エリアでは、平均で9週間かかっていた教育期間が7週間に短縮できています。
採用活動がブラッシュアップされたことで、管理職教育も見直していこうという動きが起こりました。ただ「業務を教える」のではなく、「新人のことを考え、育てる」視点を持たせる。数人で話し合って、教育マニュアルの内容もよりブラッシュアップされました。
管理職が変わることで現場の雰囲気も良くなり、新入社員の定着率も10%ほど改善。これもある意味、適性テストのおかげといえるかもしれません。
今後どのように活用していきたいですか?
西日本エリア以外にも導入を広げ、全社的な取り組みになってきました。
教育シーンでももっと活用したいですね。営業所の所長や引継ぎを行う社員が、テスト結果を見ながら、新入社員の性格タイプに合わせてコミュニケーションを工夫するなど、モチベーションアップや離職防止に使っていきたいと思っています。
また、姉妹サービスのケミストリーを上位階層に行い、チームビルディングに活用する。社員同士がお互いの足りない部分を可視化し、補いあっていく関係性作りができれば、より事業発展に貢献できると思っています。
他の人事の方におすすめしたいポイントはありますか?
異業界・異業種からの採用をされている企業にはぜひ使っていただきたいです。
ドライバー採用も、いろいろな業種から人材が集まってきます。どんな人材が自社では活躍・定着するのか基準もつくりやすく、見極めやすい適性テストだと思います。
また、導入して終わりではなくて、これを使って事業発展のために何ができるか、一緒に知恵を絞ってくれること。私たちも色々なお取引先と仕事をしていますが、エン・ジャパンは本当に真摯に向きあってくれる。ここは本当におすすめしたいポイントですね。